ホンジュラス:奪われた選挙とクーデターの後遺症
11月26日、 ホンジュラス市民は新しい大統領を選ぶ投票に行った。この選挙はごまかされ、暴力、汚職及び刑事免責などで苦悩する国家に新たな危機をもたらした。
何十年にも及ぶ独裁政治や軍事独裁などを経て、1980年以降、ホンジュラスは民主主義に向かって進んでいたが、婉曲的な言い方をすると「民主的負債」で同国はいまだに苦悩している。2009年、クーデターが起き、これによって同国は、弾圧、汚職及び貧困の拡大により、民主主義へ向かう過程が破壊された。警察の力と弾圧を好む従来のビジネスエリートたちは私腹を肥やすために、大規模な土地の横領と没収という、新たな調達先を見つけた。
労働組合活動家、農民、環境活動家、市民権擁護者、そして政府に批判的な評論家などが殺害されたが、刑事免責になった。犯罪法が改定され、抗議活動がテロ行為に指定された。社会保障制度は、汚職と私腹を肥やすための資金源として略奪された。エルナンデス大統領は選挙に立候補できるように最高裁判所を非道なやり方で操作し、今回の選挙を奪った。
民主勢力は抵抗し、拒否し続けている。IUFラテンアメリカ地域書記局とホンジュラスをはじめ同地域の加盟組織はこの抵抗をずっと支援してきた。この選挙の偽装の全貌が明らかになると、同国民はすぐさま街頭にでて抗議を始めた。彼らに対し警察は暴力をふるい、夜間外出禁止令と事実上の非常事態が発せられた。彼らは抵抗を続けた。その抵抗の強さは、大規模に配備された首都のテグシガルパの警察部隊の12月5日の声明によく反映されている。警察は夜間外出禁止令の強制を拒否し、「我々はホンジュラスの国民を抑圧し、彼らの権利を侵害することはしたくない」と、警察のスポークスマンは報道関係者に述べた。
2009年のクーデター直後、「事実上の政府」の茶番劇的な選挙が行われた、当初は制裁と非難の波が押し寄せたが、間もなく事態は収束に向かい、妥協と承認に転じた。これと同じ筋書きを繰り返してはならない。
信用を欠いた選挙委員会は、限定的な票の数え直しを申し出たが、これではまた「事実上の政府」の結果になってしまうだけだ。野党と市民社会の全面的関与を伴い、信頼のおける経験豊かで正当なオブザーバーの監視の下で、すべての票が再集計されなければならない。
最大限の国際的圧力が現職の政府に加えられなければならない。そして2009年の毒のある後遺症を拒絶し、必要な票の再集計の後もその圧力を加え続け、ホンジュラスの国民が刑事免責、暴力、汚職及び制度化された窃盗に異議を唱える手段を確実に持てるようにならなければならない。