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自殺後の生命?新たな種子、新たな脅威

12.06.14 Feature
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IUFが長年協力してきた市民社会団体ETCグループ(元RAFI)による、新たな食品・農業技術とその影響に関するシリーズ記事第2段を発表する。

1999年、IUFは不稔種子の特許を取得した「ターミネーター種子」の禁止措置の要求に加わった。禁止措置は講じられたが、それが今、攻撃にさらされている。

 「ターミネーター」種子が、あなたの身近にある農地でもうすぐ収穫されるかもしれない。収穫時に死滅するこの「自殺種子」は(そのため、種まきの時期に毎回新たに種子の購入が必要)、2000年以降国連の禁止措置によって勢力を抑えられてきたが、今年ブラジルで合法化されるかもしれない。ブラジルの国会で長年保留されてきた二つの法案が、FIFAワールドカップの開催される6月から国政選挙のある10月上旬の間に密かに法制化される可能性がある。もし何れかの法案が可決されれば、隔年開かれる国連生物多様性会議が10月中旬に韓国で開催されるが、ブラジルの外交官はその場で禁止措置の「再解釈」によって世界の批判を事前に交わす動きに出るだろう。

 「ターミネーター」の支援者及びロビイストたちは、食品に入り込んでしまうかもしれない所謂「バイオリアクター」作物(つまりプラスチック、燃料、医薬品などのために設計された遺伝子操作された特性を持つ樹木とサトウキビ)から農作物を保護するためのバイオセーフティーの動きとして、莫大な利益を生むこの種子を再ブランド化している。

 ブラジルの法案に恐怖を抱いた約69,000の世界中の個人及び組織が申し立てをした。ブラジルのクリティバで2006年に生物多様性会議が開催された時、現ブラジル政府が禁止措置を覆そうとする多国籍種子企業を支援したことは、非常にショッキングな事である。

 2000年以降、世界の商業種子市場の54%を占める世界3大種子企業(モンサント、デュポン、シンジェンタ)はターミネーターの商業化をしない約束を公に強いられた。しかし大手種子企業、及びブラジルのエンブラパ(多国籍企業と緊密な関係にある)のような公設育種業者は不稔種子技術の研究を続け特許を申請し、さらに厄介な技術を開発し続けてきた。

 その一例として2006年、ETCグループはゾンビ種子の特許申請を発見した。この種子は収穫時に死滅するが、種子会社の特許薬品に漬けると蘇生できるのだ。ターミネーターの究極な形態としてゾンビ種子も禁止措置で抑制されている。

 消費者の遺伝子組み換え種子に対する根強い抵抗と、国連のターミネーター禁止措置が継続する中、多国籍企業は独占利益への他の道を模索している。少なくとも他に9件の技術を現在積極的に開発中で、企業らは、これらの種子は遺伝子組み換え生物ではないので規制は必要ないと主張している。

 しかし全ての技術が新しいわけではない。実際いくつかはガンマ、X線、そして冷戦中に初めて現れた化学突然変異生成など、長年存在するものもある。これらの技術はすべてレーダー範囲の下を飛んでいたため、全て商業的に利用されているが、どれも規制が十分ではない。

 最新の技術である合成生物学は、農業経営者、食品加工会社、農業労働者及び消費者にとって、健康・環境・経済面で大規模な影響を及ぼす。しかしガンマとX線の突然変異生成を通じて、「非遺伝子組み換え生物」の遺伝子組み換え生物を繁殖させる最も古い戦略が勢力を巻き返してきており、迅速に注意する必要がある。

 国際原子力機関によれば、ガンマとX線が引き起こした突然変異は80年前、インドネシアでオランダ人から始まった。冷静時代、ブリーダーたちは自らを「フランケンシュタイン」と表現し、彼らの計画を「ガンマ・ガーデンズ」と呼んでいた。放射線育種は低迷し、遺伝子組み換え生物がはじめて現れた1990年代までに影をひそめていた。しかし遺伝子組み換え生物が反対にあうと、放射線突然変異は密かに再開された。2013年、ブルームバーグ・ニュースは、200種の農作物を巻き込む3000種類の植物が商業化されていると推定した。放射線育種は現在イタリアのデュラム小麦(パスタ)生産で主な役割を演じており、ほとんどの場所での大麦生産、中国と東南アジアの大豆と米、及び東アフリカのさび耐性小麦でも大きな役割を果たす。昨年、少なくとも31ヵ国が放射線育種を行った。2004年アメリカの国立科学アカデミーは、放射線育種はガンマ線の照射がバイオテックな遺伝子移動よりはるかに突然変異を引き起こしやすいため、「従来」の遺伝子組み換え生物よりも精査が必要であると警告した。

 ターミネーターの未来は10月のブラジルの選挙で変わるかもしれない。ターミネーターとその他の新たな繁殖技術はこの10月、生物多様性会議の議題にものる可能性が高い。カタジェナ・プロトコールが適用される可能性がある。同じく10月にローマで開催される国連世界食料保障委員会の議題にも、これらの技術が含まれることが同様に重要である。