フィリピンにおけるコカ・コーラ社ボトラーFEMSAのビジネスモデルは、雇用破壊、労働法侵害、組織的な権利侵害である
フィリピンでコカ・コーラ・ブランドの商品を製造するコカ・コーラFEMSAは、予定されている砂糖税の導入前に、販売や製造に携わる従業員の大量解雇を計画した。大量解雇はビジネスを事実上麻痺させ、確実に2018年の売上ダウンにつながる。そして2017年12月に税金が導入されたときに、同社は雇用破壊や労働法の侵害、組織的な権利の侵害を、新しい「ビジネスモデル」として提示した。
砂糖税導入の2年前、SENTRO食品&飲料協議会を通じてIUFに加盟しているコーラ飲料関連産業労連(FCCU)は、持続可能な方法を目指して産業改革や雇用、公衆衛生について、政府や同社と幅広く議論した。
それにも関わらずコカ・コーラFEMSAはただ砂糖税にまつわる現実的な問題を無視し、組合との交渉を避け、2018年1月30日に606人の販売員の大量解雇を発表した。
労働者の突然の大量解雇は、労働者の労働組合権を侵害するだけでなく、コカ・コーラ体制に拡大する権利侵害の道を拓くことになる。大量解雇の前にコカ・コーラFEMSAは、いくつかの販売地域において、直接雇用の正社員の代わりに第三者の配送パートナーとすでに契約を結んでいた。IUFとFCCUによる配送パートナーの調査で、販売労働者に対する賃金が各地域の法定最低賃金を下回っていることがわかった(法定の最低日当額は地域によって定められている)。これらの配送パートナーに雇われている販売員やヘルパー、ドライバーたちは、法定最低賃金よりも5%から34%少なく賃金が支払われていた。その一つの地域では、配送パートナー4社が、労働者が販売目標を達成できなかったら賃金を半減させたり、法定最低賃金より大幅に減額させたりすることを日常的に行っていた。
フィリピンの法律では、間接的な使用者であるコカ・コーラFEMSAフィリピンもこれらの最低賃金に対する違反に責任があり、法的責任の観点から直接の使用者とみなされる。多国籍企業に関するOECDガイドラインでも、コカ・コーラ社とコカ・コーラFEMSAがその事業やサプライチェーンにおける権利の侵害についての責任を負うとしている。にもかかわらず、同社の大量解雇は度を増し、権利の侵害と最低賃金法の違反を通じてより低コストを実現する第三者の企業へのビジネスを増やした。
砂糖税に対する同社の対応として示された新しいビジネスモデルは、違法な行為や貧困賃金、不安定な雇用、人権侵害の上に成り立っている。
組合メンバーが強制的な解雇に同意させられそうになったときに「抗議する」と書いて解雇を拒否したことをコカ・コーラ社とコカ・コーラFEMSAが認めなかったことは、新しいビジネスモデルを支える人権に対する執拗な攻撃をさらに露呈させた。経営は全労働者が「合意した」と主張し、彼らが抗議し続けたら雇用証明書を出さないと脅した。
ビジネスの繁忙期を前に雇用を破壊し自社の販売能力を低下させた上で、同社は組合との誠実な交渉を拒否し続け、製造に携わる何百人もの労働者の強制的な解雇に動き出している。