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ブラジル:攻撃される民主主義

08.11.18 Editorial
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ブラジルの民主主義は岐路に立っているのではない。銃殺隊に直面しているのだ。

元陸軍大尉ジャイール・ボルソナーロ氏は、1028日の第2戦大統領選挙で余裕で勝利すると予想されており、野党の労働党を物理的に排除すると誓った。1021日、同氏は記者会見で次のように述べた。「これらの過激な無法者たちは我々の祖国から追放する。ブラジルの歴史上見たこともないこれらの無法者を一掃する。彼らが国外に出て行かなければ、投獄する」。

2016年の投票でボルソナーロ氏は、拷問の軍当局者の責任でジルマ・ルセフ大統領を弾劾することに専念し、何十年にもわたる軍事独裁政権への望郷の念を高め、選挙で自分が負ける選挙結果は受け入れないと宣言している。また、「ブラジルにおけるあらゆる行動主義を廃止」させると約束し、また労働組合活動家をはじめ土地を所有しない小作農や原住民、社会運動家、女性、都会及び農村の貧困層、アフリカ系ブラジル人及びLGBTIの人々に対する暴力を呼び掛けている。

ボルソナーロ氏はファシストか?あるいは単に「独裁主義者」なのか?そもそもそれは重要なことか?ボルソナーロ氏は軍事主義の極右派の継承、暴力崇拝、女嫌い、人種差別、民主主義の軽視、組織化された労働階級に対する憎悪を保持し続けているが、「ボルソナーリズモ」主義は、ヨーロッパのファシズムの南米版を刺激した国主導の協調組合主義から逸脱している。彼の経済顧問、パウロ・ゲデス氏は、「すべてを民営化」というシンプルなプログラムを持つ。強力な農業ロビィに支えられ、ボルソナーロ氏はアマゾン川流域を海外投資に無制限に開放するつもりである。団体交渉を骨抜きにし、20年間公的資金の上限を設けるなどしたテメル政権の労働法の「改革」は、そのまま維持される。最終的に、ブラジルの歴史に根深くはびこる暴力的な階級的憎悪と人種差別を伴う新自由主義の有毒な融合が生まれる。

 歴史的に脆弱なブラジルの民主主義制度の正式なメカニズムは、ルセフ大統領の茶番の極貧とルラ大統領の投獄ですでに空洞化されている。伝統的な「中道派」政党は事実上消滅し、ボルソナーロ氏がその空洞に入り込んできた。全般的な政治メルトダウンは彼に巨大な足場を与えた。もし彼が国会を襲撃する準備のある民兵組織に事欠くなら、2006年にブラジルがハイチに侵入した際都会のスラム住民を標的に演習を行った軍隊をいつでも使える。軍隊の参加や政策を伴った民間自警主義は何十年にもわたり罰を受けずに活動している。

ボルソナーロ氏と彼の支持者たちが破壊を誓った民主主義の存続は、ブラジルの労働組合と社会運動にかかっている。

国際労働運動は厳戒態勢を維持し、あらゆる手段を用いてブラジルの民主主義と労働組合運動の保護のために永続的に動員し続けれなければならない。