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ネスカフェプラン:バイヤー、ご注意を

16.09.10 News
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ネスレは、典型的な報道機関のファンファーレと共に、10年間のネスカフェプランを発表した。これは会社のコーヒーサプライチェーンの最大活用化を助けるものである。ネスレは、農家直接購入のネスカフェコーヒーの量を今後5年間で2倍にする。このプランにはネスプレッソ特定のものも含まれる。ネスプレッソはネスレで最も成長の早いブランドであるから、驚くにはあたらない。

 

ネスレのコーヒーサプライチェーンの直接支配拡大は、ほとんどニュースにはならない。コーヒー豆の価格は、13年来の高値をつけ、過去3ヶ月間でコーヒー先物取引価格は35%上昇した。これは、トレーダーや、投機家たちがロースターより良くやっているということだ。そしてネスカフェプランは、持続可能性という言葉で飾り立てられている。ネスレCEOブルケ氏によるとネスレは株主と会社が事業を行う地域社会に対し共通の価値を創造している。ネスレは、コーヒー栽培で、農家を技術援助と小額資金調達計画で支援し、工場の環境負荷を減少することで、持続可能性の基準を満たすと誓約する。

 

小規模コーヒー栽培業者(特に価格変動、バイヤーの集中化、環境劣化により大きな打撃を受けたグループ)の状況を改善するための真正な行動は、もちろん歓迎する。ネスカフェプランは救済をもたらすか?経験は我々に慎重さを呼びかける。ネスカフェプランの農家は、まだあらゆるリスクを負うのである。

 

例えば、ネスレの最近の共通の価値の創造のレポートでは、直接仕入れの酪農家数が増加したと自慢しているが、酪農家との関係の実際の内容について、また現実にいかにこれが働くかについては書かれていない。このレポートはグローバルレポーティングイニシアチブの持続可能な報告要件を遵守しているとネスレは偽りの主張を行うが、広範な農業サプライチェーンの労働条件に関する実際の情報は何ら含まれていない。コーヒー部門における児童労働あるいはグローバルなコーヒーの収穫を依存する多くの移民労働者の状況に関しても何も書かれていない。

 

ネスレは、コーヒー栽培国に12のネスカフェ工場を所有している。このプランの下で、これらの工場は、2015年までに持続可能に生産されたコーヒーを仕入れることになる。このコーヒーを加工する労働者はどうするのか?このプランは、彼らの仕事と生活の糧にとって持続可能なコーヒーが何を意味するのかについて述べていない。瓶詰め、袋詰め、箱詰めのネスカフェコーヒーを製造する工場で国際的に承認されるILO労働基準を満たすために何の関心も示していない時、いかにネスレは、2015年までに国際的に承認された持続可能な水準に到達できるのか。

 

ネスレが、サプライチェーンの最大活用について語る時、これはインドネシア、パンジャンのネスカフェ工場でしたように、合法的に承認されたネスレパンジャン労組を弱体化させるために、経営者支配の労働組合を結成するのか?ネスカフェプランの一部として交渉の席に経営者支配の組合が招待されなければ合法的な労働組合との交渉を拒否するのか?

 

ネスレパンジャン労組基本的な労働組合権を守るために過去3年間闘争してきた。彼らの闘争はネスカフェプランがあってもなくても続いていく。

 

大きく変動するコーヒー豆の価格と商品先物取引に関連するリスクは、会社のバランスシートに穴をあけうる。金融リスクの分散戦略と国際的に承認された労働基準である国連機関のILO条約に基づく持続可能な慣行を混同すべきではない。

 

共通の価値ということになると、いくらかのステークホルダーとその地域社会は明らかに他の人たちよりもっと平等である。10年間のネスカフェプランに費やされる5億スイスフランは、2010年だけで90億スイスフラン以上費やされたネスレの株式買戻しの額と比較して考量されるべきだ。信頼に足るものであるには、我々が飲むコーヒーの栽培、収穫、加工を行う人々の基準を上げる努力が、企業の環境保全活動の陰に見られなければならない。